人間のバグ

孤独は健康に悪いらしい。
http://www.huffingtonpost.jp/robust-health/solitude_b_7133916.html

僕はこれは人間のバグによるものだと思っている。

そもそも人間は動物であり、生存と繁殖が主たるミッションであることは、他の動物と変わりはない。このミッションを達成するために、人間には実に様々なプログラムがインストールされている。

孤独に関しても、人間にインストールされたプログラムが影響している。
人類は、長きにわたり狩りを行って生活してきた。狩りはチームプレイだ。
集団から疎外され、孤独になることは、まさしく生命の危機だったはずだ。
この危機を回避するために、人間には、孤独な状況を不快と感じるプログラムがインストールされた、と考えている。

もちろん現代においては、孤独が生命の危機につながることは無い。
今の時代、孤独は当たり前であるし、むしろ煩わしい人間関係を回避した方が効率的であったりする。
しかし、人類の長い歴史から見れば、一人でも生きていけるようになったのは、ごく最近のことだ。
我々は、いまだに原始時代にインストールされたプログラムを使っている。冒頭の孤独に関しても、このプログラムが働いた結果、孤独になると不快物質が分泌され、健康に悪影響を与えていると思われる。
このプログラムは原始時代のままで、もちろん、現代をとりまく環境に適したものにはなっていない。つまり、プログラムにバグがあるのだ。

このようなバグは他にもある。例えば、怒りの感情もその一つだ。
原始時代においては、怒りの感情に従って行動することで、自分の身を守っていたのであろうが、現代においては怒りの感情に従っても身を守ることにはならない。会社で怒りに身を任せて上司に殴りかかろうものなら懲戒処分だ。現代においては、怒りの感情を自制し、冷静に法的手段等にのっとって行動するのが正解だ。

このように、人間には、現代を取り巻く状況には対応していないプログラムがいくつもインストールされており(=人間のバグ)、これに我々の行動はかなりの影響を受けている。

一方で我々には「意識」がある。先ほどの怒りの感情の例で言えば、怒りの感情に身を任せることは、現代社会においては正解ではないと「意識」することで、本能を自制することができる。これは、プログラムで言えば、バグのあるプログラムを動作させないように、別のバグフィックスプログラムを走らせるのに似ている。もちろん、大元のプログラム(本能)を修正するのが理想だが、何万年もかかるであろうから、我々が取りうる対策としては、バグフィックスプログラム(意識)を走らせる他ない。

冒頭の孤独に関しても同様に、バグフィックスプログラムを走らせる、つまり、孤独は今の時代当たり前のものだと意識することで、健康への影響を抑えることができるのではないだろうか。

人間はやっかいなもので、例えば嫉妬の感情など、バグフィックスプログラムが必要な場面は多い。我々は、まず自分の感情を冷静に観察し、その感情に従うことが、自分が置かれている環境において合理的かどうかを判断していかなくてはならないのだ。