承認欲求から解放される日

厚生労働白書によると、50歳の時点で一度も結婚したことのない人の割合は増加を続けており、2035年には男性で29%、女性で19.2%になると推測されている。

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(出典)平成27年版厚生労働白書
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/

 


人は、誰かに認められたいという「承認欲求」を持っている。

私はこれは原始時代の名残だと考えている。
原始時代、人類はチームで行動していた。
食料をチーム内で分け合う「持ちつ持たれつ」の戦略を取ることで、全体としての生存確率を高めてきたのだ。
ここで個人にとって重要となるのは、チームの一員として認められることだ。
チームから疎外されれば、食料が得られず、文字通り「死」を意味する。

我々の遺伝子の中には、未だにこのメカニズムが組み込まれていて、
他人から承認されないと不安を感じるようにできているのだ。

しかし、当たり前だが、現代においては、組織から孤立しても、生きていける。整備された法律やインフラに感謝である。


人は「人間関係」を重視する。人から嫌われたくない、寂しい思いをしたくない、誰しもが抱くこういった感情は、原始時代に、遺伝子に組み込まれた承認欲求に起因する。
しかし、人間関係を重視せずに生きられるようになった現代においては、承認欲求はもはや不要だ。現に、冒頭のグラフのように、結婚して他人と人生を共有したいと考える人は減ってきている(同白書では未婚率の増加について、経済面の懸念などが理由として挙げられているが、私は単に人間が進化し、現代の環境に適応しているだけだと考える)。草食系の登場や核家族化など、人間関係が希薄化する現象は、世間からは憂慮すべき事態と受け止められているが、これは単に人間が進化しているだけに過ぎない。

人間が承認欲求から解放される日は近い。
人間から承認欲求が無くなれば…、
誰も出世を考えなくなり、社員は真に合理的な行動を取るようになる。
無用な人間関係を考慮しなくなり、人は真に合理的な行動を取るようになる。
家庭や親族内のわずらわしいイザコザに時間を取られることが無くなる。
学校からイジメが無くなる。

などなど、良いことばかりだ。
これはある意味当然のことだ。
というのも、僕らを取り巻く環境は急激に変化した。人類は600万年前に登場したとされるが、文明が発達したのは、ごくごく最近のことである。
我々の遺伝子は、急激に変化したこの現代の環境に追いついていない。承認欲求という、太古の昔に生み出された機能で、現代の環境を生き抜こうとしている現状の方がよっぽど異常だ。それはまるで、現代人が江戸時代に作られた地図で目的地に到達しようとするようなものだ。

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人間から承認欲求が無くなった未来が、どのような世界になるのか…。
考えてみると面白い。